ゆるふわなキミ


何言ってるの?別に誰も待ってなんか――
そう言おうとしたのに。
したのに……
私の言葉は、ゆるふわの真剣な顔に遮られた。本当に、本当に真剣な顔。
こんな顔は、初めて見たかもしれない……
だから、目が逸らせなくて。ごまかした言葉が口から出なくて。
ゆるふわの手が私の顔の横、壁にとん、と置かれる。それと同時にゆるふわの顔も少し近づく。

「答えられない人なの……?」

――声が近い……!!

この時に初めてゆるふわとの距離の近さを認識して、ぎゅっ、と目を閉じて顔を、視線を下にそらした。
途端に顔が、体がかぁぁっと熱くなるのを感じた。全身の血が沸騰しそうなカンジ。

「萌ちゃん……」

し、しゃ、しゃべらないで……!声が、あの、息が、前髪にかかる……!
やだもうテンパってる私。どうして?なんで?えと、えと、その、なんだっけ?

「答えてくれないと……」

だ、だ、だ、だ、だからしゃべ、えと、なんのはなし、してて、ん?んと?えとっ……!

「このままおでこにキスするよ?」
「なっ……!?」


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