浮気性彼氏と一途な彼女

『あっ、大丈夫です。』

声をかけてきた人を確認しようと
顔をあげると…

『…ッ、れ…鈴木くん…』

蓮って呼んでしまいそうだったけど

別れたしダメだよね…


『あっ、す、鈴木くん
あ、ありがとう』

うわー
めっちゃ噛み噛み


『…なぁ、何で名字なの?』

『何でって…別れたし…?』


ぼそっ『…呼べよ』

何て言ったの?

『…えっ?』

『呼べよ、蓮って』

『なっ、何で』

『呼べよ』

『む、無理っ!
ちょっ、ちち、近いっ!』

ドンッ

どうしよ

前は蓮だし、後ろは壁だし…


私の逃げ道ないじゃーん。


考えてるうちに
蓮の顔はもう目の前。

『呼べよ』

だから離れてってば


『呼べよ』

あー、耳はダメだってー

も、もう無理。


『…れ、蓮…ん』

ちょっ、呼んだはいいけど
待って、キス…されてない?


苦しくなってきたから
ドンドンと蓮の胸をたたくけど、

意味なく後頭部つかまれて


し、舌!?

舌まで侵入してきた。


やっぱり、蓮のキス好き。

どうして、またキスするの?

せっかく忘れようと頑張ってるのに。


『…ん』


やっと離してくれたときには
肩で呼吸するほど


『…どうしてキスしたの?』

『…』

『…どうして?』

『…したくなったから』



『…わ、私は、蓮の…おもちゃじゃない。

蓮の周りのいる…遊びの女の子じゃない。

私の気持ち…振り回さないでよっ!

バカっ!!』



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