どうしようもない幼なじみに…



 なんて考えて私は右手の拳を上げた。

 一回思い切りたたいて、その壊れた頭直してあげるから!

 心の中で言って、右手を振り下ろす。

 直後。

 コンコン

 ドアを叩く音が聞こえた。

「なんだよ、邪魔が入ったし」

 不機嫌そうに舌打ちして、大ちゃんが立ち上がる。解放された私は大ちゃんに振り下ろし損ねた右手を暫く見つめていた。

 大ちゃんはそのままドアの方へ歩いていく。

「ちょっ…大和!待ってよ」

「あ?」

 呼び止めると、大ちゃんはくるっと振り向いた。

「なんでドア開けようとしてるの?」

「なんで…って、ドアはノックされたら開けるもんだろ?」

 …。泥棒がノックしてきても開けるってことかな?

「え?で、でもさ?大和が開けちゃったら変じゃん。ここ、私が一人で泊まってるんだよ?」

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