どうしようもない幼なじみに…
「桃花っちには、絶対幸せになってほしいっす。だって、この俺をふったんすから」
凌太の言葉に、胸がズキッと痛んだ。
私は、つい先日、凌太に体育館裏に呼ばれた日のことを思いだした。
◇◆◇◆
「私も…凌太のこと、好きだよ?」
私が言った後、凌太は切なそうな顔をした。
「…わかってるッすよ?桃花っちが、大和っちのこと本当は好きだってことくらい」
え?私が、大和を好き?
「何言ってんの。だって私、凌太のこと…――」
「ファンでいてくれるのは嬉しいっす。でも、俺は好きな子の心が別の男の方を向いてるのはツラいっすから。桃花っちには、本当に好きな男を追いかけてほしいっす」
凌太はそう言って、私の頭をポンと叩いた。
「でも…」
「俺なら平気っす。桃花っちが幸せならそれでいいっす…なんて言ったらきれいごとかもしれないっすけど。俺、そう思うことに決めたっすから」