どうしようもない幼なじみに…



「桃花っちには、絶対幸せになってほしいっす。だって、この俺をふったんすから」

 凌太の言葉に、胸がズキッと痛んだ。

 私は、つい先日、凌太に体育館裏に呼ばれた日のことを思いだした。

◇◆◇◆

「私も…凌太のこと、好きだよ?」

 私が言った後、凌太は切なそうな顔をした。

「…わかってるッすよ?桃花っちが、大和っちのこと本当は好きだってことくらい」

 え?私が、大和を好き?

「何言ってんの。だって私、凌太のこと…――」

「ファンでいてくれるのは嬉しいっす。でも、俺は好きな子の心が別の男の方を向いてるのはツラいっすから。桃花っちには、本当に好きな男を追いかけてほしいっす」

 凌太はそう言って、私の頭をポンと叩いた。

「でも…」

「俺なら平気っす。桃花っちが幸せならそれでいいっす…なんて言ったらきれいごとかもしれないっすけど。俺、そう思うことに決めたっすから」

< 128 / 166 >

この作品をシェア

pagetop