どうしようもない幼なじみに…
「戻ってくるからヘーキ!」
母さんがまだ何か言った気がしたけど、私はスニーカーを履いて家を飛び出した。
家の前でスニーカーを履き直していると、正面の家のドアが開いた。
出てきたのは、大和。大和は私の家の正面に住んでいるんだ。
出てきた大和と、一瞬目が合う。
体育館で競技するくせに、何故か真っ黒な大和。まっくろくろすけに憑りつかれてないでしょうね?なんて思わせられる。
「よぉ」
大和がぶっきらぼうに手を上げた。
「…」
私も小さく手を上げる。
「どうしたんだよ、元気ねぇな」
大和が私の方に来た。シトラスの香りが鼻を突く。
「…大和、部活は?男バスは練習入ってるんでしょ?」