どうしようもない幼なじみに…



 俺は何も言わなかった。

 凌太の放ったボールだけを見ていた。

 暫くしてから、俺が口にした言葉に、凌太は目を見開いた。

「なぁ、一対一しようぜ」

「大和、何を言い出すんだよ」

 凌太がフザケ口調をやめて真剣な顔で聞いてくる。

「だから、一対一しようぜ。お前がどのくらい強くなったのか、確かめてやるよ」

 凌太が眉間に皺を寄せた。

「勝負するつもりなんかないよ。悪いけど、俺、今から仕事入ってるんだ」

 そういやコイツはアイドルだっけか。でも今は、そんなこと関係ねぇ。

 俺は小さく笑った。

「勝負になるなんて思っちゃいねぇよ。どうせ俺が勝ってオマエが負ける。だから言ったろ、確かめてやるってな。それともう一つ。これは俺の、命令だ」

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