どうしようもない幼なじみに…



「え?」

 桃花がポカーンとした顔で。

「いつだったか、桃花っち言ってたじゃん?飛行機見てさ、怪鳥ラドンだって」

 凌太がなおもいい、桃花の目が見開かれた。

「え?なんで知ってるの!?」

「だって、俺だもん。あんとき一緒にいたの」

 凌太がニカッと笑う。

「え!?」

 …正直、この展開は俺にとっては面白くない。

 桃花の好きなヤツは凌太だったんだ、幼稚園のときから。

 だから、凌太が転校するって言ったとき、ホントは嬉しかったんだ。桃花が俺だけを見てくれるようになるって。

 でもそれから三年くらいして凌太が子役タレントとしてデビューしてからは、桃花の視線も心も凌太に奪われてた…。

「…和!大和!」

 不意に呼ばれて俺は変な声を上げた。

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