どうしようもない幼なじみに…
「そっか。じゃあ、また今度ね」
桃花はモテるくせに、俺の気持ちに関しては鈍感だ。
ウザったいくらいに鈍い。
「じゃ、俺、玄関まで送ってくよ」
意味ありげな笑みを浮かべて凌太が立ち上がる。
見送りなんかいらねーよ、と言おうとしたが、凌太がクチパクで『話がある』と言ったから俺は出かけた声を飲み込んだ。
玄関前で、凌太は俺の耳元に顔を寄せてきた。
「俺がバスケ部入るのは、バスケ好きだからっていうのもあるけど何より、大和っちと勝負したいからなんだ」
真剣な口調で言われ、俺は戸惑った。
「そうか」
「聞かないんだ?何の勝負かって」
「どうせアレだろ?どっちがエースに向いてるかとかそんなんだろ?」
俺の言葉に、凌太は「大和っち、鈍いなぁ」と呟く。
「あ?」