どうしようもない幼なじみに…


「入っておいで」

 中谷監督が珍しい猫なで声で言った。

 体育館の入口から桃花が入ってきた。

「うわ、美人!」「スタイル抜群すぎ!」「狙っちゃおうかなー」

 先輩たちが鼻の下を伸ばして言い出す。

 気にくわねぇ。

「…大和ぉー!凌太ぁー!」

 桃花が俺らに向かって手を振ってきた。

「お前ら、あの子と仲いいのかよ?」「なんで紹介してくれなかったんだよ」

 先輩たちが聞いてくる。

「…桃花に手ェ出したら、承知しねぇすよ」

 俺は先輩たちを睨みつけた。

「こら、そこ!うるさいぞ」中谷監督が怒鳴った。「ごめんね、自己紹介始めて」

 あの厳しい監督が、猫なで声!呆れと驚きを通り越して、気持ち悪ぃ!

 見ると、凌太は笑うのを堪えているのか「くくく…」と声を漏らしていた。

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