どうしようもない幼なじみに…
凌太はツカツカと歩いていく。後ろを見ると、写真集売り場で大和がグラビアを読んでいるのが見えた。
「凌太、何買うの?」
「当ててみて」
凌太が悪戯ぽくウィンクした。
「うーん…そして誰もいなくなった、とか?」
「そんなの小学生の時に読んだし」
「え。じゃあ、オリエント急行?」
「それも持ってる」
「じゃあ何?」
私が聞くと同時に、凌太が一冊の本を手にした。
「じゃーんっ☆犬神家だよっ」
それか、というのが正直な私の感想。
自慢げな凌太の声が、人気(ヒトケ)の少ない書店に響いた。
「お、おい、何言ってんだよ凌太!」
グラビアの本を抱えたまま、大和が私たちのところまで来た。
「犬が三毛なわけあるかよっ!」