どうしようもない幼なじみに…



「大ちゃん、足速いね」

 腕の中で桃花が今更言う。

「今更かよ。言っとくけど俺、バスケ部エースなんだからな。足が速くて当然だろ」

 俺の言葉に桃花が「あ、そっか」という。

「ったく…マネージャーのくせに」

 俺が言うと、桃花は「ごめんごめん」と繰り返した。

 俺は桃花の髪を触ってから

「この浴衣…似合ってるじゃん」

 と言った。

 桃花が頬を赤らめて微笑む。

「ありがと」

 その笑顔に、ドキッとした俺は思わず

「その笑顔は俺だけの特権な」

 と口走っていた。

 言ってから、しまったと思う。

 これじゃ俺、ただの変態やんけ!

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