どうしようもない幼なじみに…
「にしてもあのアイドル気取りはどこ行ったんだよ」
珍しく大和が凌太を変な名前で呼ぶ。
大和が人を変な呼び名で呼ぶときって大抵不機嫌だったりする。
っていうか、アイドル気取りって…一応凌太は人気アイドルだけどなぁ。
「とりあえず探そうよ。祭りでよくある迷子ってパターンだと思うし」
私が言うと、大和は「そうだな」と言って私の左手を掴んだ。
「あ、あの…大和?」
「今度は転ぶなよ。それと…はぐれたりしたら困るから、手ェ繋いでくぞ」
そう言って大和は私を引っ張った。半ば強制的に、私は歩き出す。
大和の顔を見上げると、吊り下げられた提灯で照らされた大和の顔はなんだかかっこよく見えた。
ドキッ
一瞬胸が高鳴った。
「…か…うか…」
幼なじみは恋愛対象外とかいうけど。
このドキドキは…――何?
「桃花!」
名前を大声で呼ばれ、ハッとする。
「な、何!?」