どうしようもない幼なじみに…



 私は大和に下ろしてもらって女子の群れの中に身を滑り込ませた。

 こんなに女子が集まるなんて、まるでバーゲンみたいだよね。

 なんて思いながら中心にいる人を見て、私は「あ!」と声を上げた。

 でも、なんとなく「やっぱり」みたいな感じはした。

「桃花っち!こんなとこにいたんすか!」

 その人――凌太がペンと色紙を持って私に声をかけた。

「こんなところにいたんすか、じゃないよ!どんなけ探したと思ってるわけ!」

 私が言うと、凌太は「待ってて。この子にサインしたらすぐ行くから」と言った。

 皆が「「「え~っ」」」と拗ねた声で凌太を非難する。

「ごめんね。カノジョ待たせるわけにはいかないし」

 ちょっと待って!

 カ、カノジョって誰!?ま、まさか私!?

 なんで勝手に…!

 凌太は色紙を女の子に渡すと私の右手を掴んで歩き出す。

「凌太、どうゆーこと?」

「ごめん。そうでも言わなきゃ逃げらんないからさ」

 凌太が顔の前に左手を出して言った。

「うん。凌太だから許す。大和ならぶん殴ってたかな☆」

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