どうしようもない幼なじみに…
俺はゴール下に落下したボールをキャッチし、ドリブルした。
ダンクを決めようとした矢先、俺は俺を見つめる存在に気付いた。
「…ジロジロ見てんなよ。こっち来い」
俺が言うと、そいつは――桃花はコートに入ってきた。
「気付いてたんだ?」
俺は桃花の顔を見てハッとした。
桃花の頬が微かに濡れている。
「…決まったのか」
俺が言うと、桃花は黙ってうなずいた。
「三年生が引退したら、だいぶきついからね…」
俺はコートの入口で立ってる桃花を手招きした。
「こっち来いよ」
「…」
「俺に逆らうのか?」
桃花が顔を上げる。
「命令しないでよ!」
俺は仕方なくボールをコートに転がして、桃花に歩み寄った。