どうしようもない幼なじみに…



 今川さんが細い目をもっと細めた。

「大和、私には何も言ってなかったけど怪我してるのかな…。幼なじみなのに、なんで教えてくれないんだろ」

 私が呟くと、今川さんは「まぁなー」と考え事をするときに上げる声を漏らした。

「幼なじみやと言うたって、大和は男で桃花ちゃんは女や」

 今川さんが当然のことを言ったから私は拍子抜けた。

「それは前から知ってますけど」

「ほなわかるやろ。男は好きな女には弱いとこを見せられんもんなんや。たとえ幼なじみでもそれは一緒やで」

 今川さんは汗でぬれた髪をタオルで拭いて立ち上がった。

 好きな女…って、別に私は大和の好きな女じゃない気がするけどなぁ。

 でも、男子って女子の前では強がりそうだよね。だってかっこつけたがる子多いし。それに、男子って単細胞生物並に単純だからね。

「にしても大和はええなぁ」

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