私だけの王子様
今更、こんな事を思うなんて馬鹿だな私って。
あの時、私が手作り料理を断っていたら、こんな思いはしなかった。

もう自分の馬鹿さに呆れてきた。
だけど、そう思ってもこの作ったクッキーを悠斗にあげたいと思うのは変だろうか・・・。

この気持ちは・・・何だろう。



「じゃあ、クッキーも作った事だし、どっか遊びに行こーよ!」

「うん。どうせクッキー作り終わったら暇だもんね!」


いつも以上にテンションが高い沙耶に私も気分が上がってきた。
こんな時の沙耶のテンションはわりと好きだ。

それから沙耶とはショッピングをしたりゲームセンターに行ってプリクラを撮ったりと十分に楽しんだ。



「プリクラは家で切ってくるから明日、千夏に渡すねー!」


笑顔で撮ったプリクラを見ている沙耶に「うん。」と返事を返した



「じゃあ、本当に明日・・・頑張ってよね!千夏も立花くんの事、好きになっちゃえば良いのに!」

「それは・・・。」

「自分の気持ちに迷ってると、あたしが立花くん奪っちゃうかもよ?」


沙耶が別れ際に言ったこの言葉。
そんな言葉に妙に悩んでいる私がいる。

きっと沙耶の事だから冗談だとは思うけど、この妙にモヤモヤする気持ちは何だろう。

さっきもこんな気持ちになったような・・・。
私って悠斗の事・・・。


そんな事を思っているうちに一日は、あっという間に終わってしまった。

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