私だけの王子様
このまま・・・?
というのは、悠斗と別れたままって事だよね。

でも、悠斗とは本当のカップルではなかった訳だし。
私は・・・悠斗の事をどう思ってた?

好きだった?って聞かれたら、好きだったって答えると思う。
でも、それは恋愛感情で?って聞かれたら答えられない。
確かに悠斗にはドキドキさせられる言葉や行動があったけど、恋愛感情でドキドキしてた?

こうやって振り返ってみると、自分の気持ちがどうなのかがわからない。


「千夏、自分の気持ちだけはハッキリさせといた方が良いよ。後で後悔するのは自分なんだから!」

「うん。」


沙耶の真剣な言葉に私も真剣に自分の気持ちを考えてみようと思ったんだ。


・・・―

悠斗の事をどう思っているかを考えて答えを出すだけなのに中々答えが出てこない。
そんな自分に嫌気がさした。

悠斗が好きな女子達の周りでは私と悠斗が別れたという事が、もう噂になっているらしい。思いもよらぬ女子達の噂の早さ。

そういえば・・・久しぶりに一人で帰るな。
なんて思いながら教室から出て下駄箱へと向かう。
そして靴に履き替え校舎を出た。
グラウンドで部活動をしている生徒の声がやけに耳につく。

あと少し歩くと良く悠斗と待ち合わせをしていた校門がある。
そして校門が見えるぐらいまで歩くと私の目に映ったのは・・・悠斗と沙耶?

校門の前には悠斗と沙耶が居たのだ。
どうして・・・?
あまり親しくないはずなのに・・・。
もしかして沙耶って本当に悠斗を狙うつもり?


確か言ってた気がする・・・。
悠斗にあげる手作りクッキーを作り終わった後、沙耶と遊んでその別れ際に。

“自分の気持ちに迷ってると、あたしが立花くん奪っちゃうかもよ?”
冗談だと思っていたこの言葉は、もしかして本当なの?

沙耶は笑顔で何やら悠斗と話している。と、思ったら二人で仲良く帰って行ってしまった。
どうやら私には気づかなかった様だ。
そして私も気づいていなかった。私の目からポタポタと涙が出ている事に。

あの二人が何を話していたのか凄く気になる。だけど、どんなに気になっても私と悠斗はもう関係がない。

そう思うと今までは何だったの?と思うほど、悲しい気持ちに陥った。


< 13 / 23 >

この作品をシェア

pagetop