私だけの王子様
『でも、あたしは遠慮しないよ。』

「・・・え?それって、どういう意味?」

『じゃ、用事はこれで終わりだから。日曜日に千夏の家に行くからね!』


そう言われて一方的に電話を切られた。
私の話は無視かよ。
なんて思いながら少し笑顔になっている自分がいた。
だって自分の気持ちを、ちゃんと知れたから・・・。

最初は好きでもなかった悠斗なのに今は好きになっている。
時の流れというものは不思議なものだ。
いつ何が起きて何が変わるかわからない。

だけど、私は自分の気持ちが知れて嬉しいけど浮かれている場合ではない。

・・・悠斗とは別れたんだよ?
今更、こんな気持ちに気づいても無駄な事だった。

それに沙耶が最後に残した言葉が、ひっかかる。
“あたしは遠慮しないよ”これってつまり、悠斗が好きだって事・・・?
やっぱり沙耶は悠斗の事が好きなんだ。

それと、一つ気づいた事がある。
私が悠斗の前で流した涙は私の“愛”だったんだと思うんだ。

きっと、あの時から私は悠斗を好きだったと思う。
その私の“愛”が溢れて涙となって出て来たんだ。
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