私だけの王子様

君は私だけの王子様

・・・―

あれから悠斗の事を好きだと気づいても何も進展などしなかった。

それは当たり前の事だと思う。
だって悠斗にとって私は元カノだ。

いくら悠斗が私の事を好きで告白して来たと言えど今の気持ちは変わっているだろうな。

それに、沙耶。
沙耶は何事もなかった様に平然としている。
だから結局“あたしは遠慮しないよ”の意味は、わからないまま。

そして土曜日の夜。
私の携帯に沙耶からのメールが届いていた。

[明日の1時頃に千夏の家に行くから!]
そう受信ボックスに届いていたメールに[わかった。]と返事を返した。

明日は私の誕生日だ。
どうやら沙耶が私の家で誕生日を祝ってくれるらしい。
嬉しいけど、今の私は複雑な気持ちだった。

私は悠斗が好きで、沙耶も悠斗が好き。
これって恋愛では敵でしょう?
いわゆるライバルって奴じゃん・・・。

だから何となく気まずい気が私には、あるんだ。
沙耶は、何も感じないのかな?
そんな考えを膨らませていくうちに私の瞼は重くなり、深い眠りについた。


・・・-

-ピンポーン

時計を見ると一時だと針が示している。
・・・沙耶だ。
今日は私の誕生日。
何だか実感がないけれど。

そして今日の私の誕生日を祝ってくれるのが沙耶って訳で家に来ると言っていた。
一時に来るとは聞いていたけど本当に一時ピッタリで笑えて来る。
沙耶ってそんなに時間ピッタリに来る人だった?
待ち合わせとか何分か遅れて来てたのに。
そう思っていると玄関からお母さんの声が聞こえてきた。


『千夏ー!お友達が着てるわよー。』

「わかった。今、行くから!」


そう言って自分の部屋から玄関へと向かう。
沙耶は、“とっておきのプレゼントがあるから期待しててよー”と自慢げに言っていた。

だから私は期待しちゃってる。
一体、どんな豪華なプレゼントをくれるんだろう。


「沙耶ー!・・・えっ?」


玄関まで着いて、お母さんはリビングに戻った様。
だけど今、私の目の前にいるのは沙耶ではない。

どうして・・・?
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