私だけの王子様
動揺しまくりの悠斗に私は何だか全てが読めた気がする。
沙耶は、私の恋を応援してくれていたって事だよね。
“あたしは遠慮しないよ”はハッタリだったって事だ。

それに沙耶は最初から私の家になんか来る予定じゃなかったんだよね。初めから悠斗を行かせる予定だったんでしょう?


「千夏ちゃん。迷惑かもしれないけど、気持ちを伝えても良いですか?」

「うん・・・!」


私は小さく笑って見せた。


「僕、やっぱり千夏ちゃんが大好きです。別れた後も後悔して、ちゃんと約束の一ヶ月まで付き合っていればって思ってました。」

「うん。」

「そんな時、沙耶さんが放課後、千夏ちゃんの誕生日を教えてくれたんです。」


放課後ってあの日の放課後?
悠斗と沙耶が楽しそうに笑って二人で帰っていた日。
あれは私の誕生日の話をしてたんだ・・・。


「また気持ちを伝えるためにバラを摘んできて・・・。そして千夏ちゃんに会ってみると本当の気持ちを実感しました。」


丁寧に話してくれる悠斗に私は真剣に聞いた。


「もう一度、今度は一ヶ月なんかじゃなくて僕の彼女になりませんか?」


悠斗、そんなの答えはもう決まってるんだ。
やっと私も自分の気持ちに気づいた。
もう一ヶ月なんていう恋愛ゲームみたいなのじゃなく、私も本気で悠斗と付き合いたい。そう思ってたよ。


「こんな私で良かったら、お願いします。」


そう言ってニッコリ微笑むと悠斗もニッコリ微笑んで私を抱きしめた。
手に持っているバラが落ちてしまいそうなぐらい突然な事で心臓はドキドキと音を立てている。
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