私だけの王子様
私は立花くんの気持ちには応えられない。私は立花くんの事を恋愛感情では意識していないから。


「・・・千夏ちゃん。一ヶ月だけでも僕と付き合って頂けませんか?」


立花くんの発言には心臓が跳ねる程、驚いた。立花くんはどうしてココまでするの?
一ヶ月だけ付き合うなんて期間限定の恋人って事だよね。
そんなので立花くんは良いの?一ヶ月だけ付き合うなんて何の気持ちもなしに立花くんの彼女でいろって事?


「千夏ちゃん・・・いけない事ってわかってます。だけど僕、それくらい千夏ちゃんの事が好きなんです。」


顔を真っ赤にしながら必死に訴えかける立花くんに私はどう断って良いのかわからなくなった。
立花くんと目が合う度に胸が締め付けられる。
今まで何回か告白はされた事があるけど、こんなに真剣にされたのは初めてだから。

立花くんの瞳が真剣さを物語っている。
凄く綺麗な瞳をして私を見てる。
大きくて二重の目は今にも吸い込まれそうなものだった。

だから、勝手に言葉が出たんだと思う。


「うん。一ヶ月よろしくね。」

「本当・・・?千夏ちゃん、ありがとう・・・!」


ニッコリとそしてキラキラとした笑顔を浮かべて喜ぶ立花くんを見ると少しだけ・・・ほんの少しだけだけど胸がドキンと高鳴った気がした。

どうして、こんなにカッコ良く笑う王子様の立花くんが私なんかに惚れたんだろう。


「じゃあ千夏ちゃん、僕は帰りますけど千夏ちゃんも一緒に帰りますか?」


そっか、今は放課後だ。


「ううん。私は一人で帰れるから良いよ。」


そう言い終えた後、立花くんの表情が歪んだのがわかった。


「明日は一緒に帰ろ!」


その言葉で立花くんは笑顔になった。そしてニコリと笑って手を振って私の前から立花くんは去って行った。
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