私だけの王子様
番外編

バラ１００本分の愛を君に

高校の入学時、僕は一目惚れをした女の子がいる。
可愛くて、優しそうに微笑む彼女を自分のものにしたいと思った。
こんな感情は初めてで、どう気持ちを伝えたらいいのか僕は考えに考えた。

その結果、僕は彼女に１ヵ月期間限定で付き合おうと言ってしまった。
いけないことだとわかっていた。
そんなこと何も得られるはずがないとわかっていた。
だけど僕はこんなにも彼女のことが好きだったんだ。

そしてお付き合いは順調に思えた。
しかし彼女はキスをすると涙を流した。
それはきっと僕とキスをするのが嫌だったんだろう。
付き合っていたとしてもゲームみたいなものだ。
彼女にとって僕は、“ただ付き合っている人”に過ぎないのだ。
そして先日、期限の一ヵ月ではない少し早い日にちだったけど彼女と別れてしまったのだ。


『ねぇ、立花くん！あたしと遊ぼうよ！』

『あたしとも遊んで～！』

『あ、お弁当作ってきたんだよ！』


この女の子達は何かといっては僕にまとわりついてくる。
いつも“遊んで”だとか“お弁当作ってきた”だとかで良くしてくれる。
嬉しけどやっぱり、僕はあの子しか目にはいらない。


「あ、立花くん！」


僕を見つけて沙耶さんが走ってきた。
沙耶さんは僕の想い人の友達だ。


「立花くん、千夏と別れたんだって？」

「･･･はい、そうなんですよ。」


僕は苦笑いを浮かべた。
できることなら彼女とまた一緒に笑いあって一緒に帰りたい。


「立花くん、千夏ね明日誕生日なんだ。で、あたしが明日千夏の家に行くことになってるんだけど立花くんが行きなよ。」

「え、僕がですか･･･？！」


驚く僕をよそに沙耶さんは「じゃあ詳しいことは放課後に！」と言って去ってしまった。
もちろん僕には嬉しいことだが、いきなり家に押しかけて怒られないだろうか。
僕は少し不安がつのった。
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表紙・目次

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