私だけの王子様
そして放課後になり色々沙耶さんとお話をした。
どうやら沙耶さんは僕と彼女をもう一度付き合わせたいらしい。
そう思っていてくれるなんて僕は嬉しかった。


「じゃあね、立花くん!明日はちゃんと想いを伝えてね!」

「はい、ありがとうございます。」


明るく手を振り帰っていく沙耶さんを見送り僕も自分の家へと向かった。
明日は彼女の家に行く。しかも彼女は誕生日だ。

プレゼント、何が良いだろう?
そう思って思いついたのが庭でおばあ様が育てているバラだ。
真っ赤に染まったバラは今が一番綺麗に咲く時だ。


「おばあ様!バラもらいます。」


家に帰るなりおばあ様にそう告げて僕は庭へと向かい綺麗に咲いているバラを摘んだ。こんなにもたくさん咲いているバラを見たのは久しぶりだ。
おばあ様もよくこんなに育てたなぁ。
そう感心していると「悠斗、そのバラはどうするの?」と後ろから声が聞こえてきた。
パッと振り返るとそこには着物姿のおばあ様の姿があった。


「これは好きな子にプレゼントするんだ。」

「そうかい。このバラは私が大切に育てたバラなんじゃから大切にするんだよ。」

「はい、おばあ様。」


1本1本が微かに違っていてどれもこれも本当に綺麗だ。
この大きなバラの花束をプレゼントすると彼女は喜んでくれるだろうか?


「悠斗、きっとそのお嬢さんは喜んでくれるよ。花を貰って嫌がる女なんていないさ。だから安心して行っておいで。」


おばあ様の言葉を聞き僕は安心した様に笑みが零れた。
そして次の日、僕は予定通りの時間に彼女の家へと向かう。

バラ100本分の愛を君に伝えるために-


end
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