被写体




目が眩むような激しいフラッシュ。


それに、照らされているのは、1人の男。

彼は森本淳。今をときめくスーパーアイドル。
数々のドラマや映画、CMなどに出演し、彼を見ない日はない。


彼を撮影しているのは、私の彼氏である剛。

そして私は今、カメラマンである剛のアシスタントとして動いている。


剛は細かく指示を出し、彼はその指示に答え、様々に表情を変えていく。


睨むような鋭い視線を寄越したかと思うと、

視線をそらし切なそうな表情に。

かと思えば、照れくさそうに笑ってみたり…。


――そんな彼の表情にいつの間にか、見入っていたのに気付き、私は一つ息を吐いた。


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