野獣に魅せられて・・・
「…すみません。

人違いみたいです」


「・・・知り合いに似てる人でもいた?」


「・・・ええ」


「それは、想い人・・・かな?」


「・・・え?!」

佐々木先生の言葉に、目を見開いた。

・・・

「どんな人からも好かれる君が、

彼氏の一人や二人いそうな程綺麗なのに、

彼氏の一人もいない・・・

ここの病院の男たちが、密かに

君に思いを寄せ、あの手この手を使って、

仕掛けてるのに、ちっともなびかないと

嘆いていたよ」


そう言って優しく微笑んだ佐々木先生。

その笑顔につられて、

私も笑みをこぼした。



「ご冗談・・・

そんな事に気が付かなかったし、

それにさっきの似た人は・・・」

・・・

思い出しただけで、

胸が苦しくなった。
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