SUGοЯοKU
『なんだよ!井上。俺をほってったくせに』
『はぁ?お前が勝手に先走っただけだろ?』
『勝手なこというんじゃねぇよ!』
バンッ!
加藤は、もう1発うった。それは、井上のお腹にあたった。血が大量にでる。井上は、その場に倒れこんだ。
バンッ!
銃をうった音がした。
『加藤くん…ごめんね…』
明日香がうったのだ。明日香の手は、震えていた。明日香がうった弾は、加藤の心臓に命中した。加藤は、うごめいていた。加藤は、どんどん動きがゆっくりになった。ついには、うごかなくなった。
死んだ…
自分の手で殺してしまった。
明日香は、銃を地面に投げつけた。
『私が…人を??どうしたらいいの?どうしたらいいの?』
明日香の頭の中は、ぐちゃくちゃになる。手で頭をおさえた。髪の毛もぐちゃくちゃになる。明日香の手を井上は、あたためた。
『今のは、仕方ないよ…。加藤も言ってただろ?自分の命を守らないといけないって…。』
『そうだけど…。そうだけど…。』
『考えるな!!』
井上は、大声でいった。
『でも…』
『でもじゃない!お前は、自分の命を自分で守るんだ。』
『そんなの無理…』
『なんだよ…。お前は、加藤から俺を守っただろ?お前は、人も守れたんだ。だから自分も守れ…る…はず…だ。ゴホッゴホッ』
井上は、口から血をはいた。どんどんでてくる。
『井上くん…。死なないで…。横になって…』
横になると血をはかなくなった。井上の顔は、青くなっていた。目を開くスピードがおそくなっていた。
『なぁ…矢野?お前にやってほしいことと聞いてほしいことが1つずつあるんだ…。聞いてくれるか??』
『なに…?なんでもいって…!!』
『やってほしいことは…ゴホッ…ゴホッ…泣かないでくれ…。俺は、お前の笑顔がみたい。』
『えっ…。ニヒっ』
明日香は、必死に笑った。ニコニコ笑った。作り笑いだけど…。こんな時に本当に笑えるはずがなかった。
『ありが…と。聞いてほしいことは…ゴホッ…俺…入学したころからお前が好きだ!今、すごくしあ…ゴホッゴホッゴホッゴホッ…わせだ。昨日のすごろくの時、好きな人は、矢野ってこたえたんだ…。』
明日香は、思い出した。すごろくの時、自分の名前が聞こえた。あれは、悪口でもなんでもなかった。自分のことが好き…。初めての告白だった。
『ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ』
井上の咳はとまらなくなった。
『井上くん…。ありがとう…。でも、もう黙って…。症状が悪化したゃう…』
『いやだ…。俺は、お前が好きだ!大好きだ。初めてなんだ…人を好きになったこと…。』
明日香は、思い切った行動にでた。井上と唇をかわしたのだった。明日香の顔は赤くなる。井上は、笑っていた。
『ありがと…。最後にいいおもいでができて…。』
『最後?最後なんていわないで…!いわないで!!』
『ふふっ…。ありがと…そういってくれてありがと…。嬉しいよ』
『私だって、嬉しいよ…。井上くんが私のことが好きだってこと…。』
『矢野…好きだ…好き…だ。ゴホッ!ゴホッ!大…好きだ!大好きだ!矢…野…。』
『私もだよ!』
明日香は、また泣いてしまった。
『大好…き…だよ…矢…野。ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッだ…い……きだ!明日香…。お…れは、明日…香が…大…好…きだ…』
『井上??い…の…う…え?井上!!井上!!』
“おれは、明日香が大好きだ”
この言葉が井上の最後の言葉だった。