SUGοЯοKU
待ち合わせ時間を5分過ぎても先生達は、こなかった。生徒会長をつとめていた、伊藤拓真(いとうたくま)が職員室をみにいった。生徒は、不安だった。待ち合わせ時間にも先生はこないし、旅行先は教えてくれない。
『ふぅー』
ため息がこぼれる。さらに10分たった。その時、伊藤が帰ってきた。
『みんなぁ!静かにしてくれ!』
みんなは、静かになった。伊藤は、焦っていた。
『なんだよ、伊藤!そんな焦って…』
『あの…先生が職員室にいないんだ!』
『他のとこさがしたのかよー』
『ホンマそれー』
『職員室以外にだって先生いるだろーが。』
男子生徒が口々に騒ぎだす。伊藤は、みんなを見ながらいった。
『職員室以外もちゃんとさがしたってー。駐車場みてみろよ!』
伊藤は、駐車場があるところを指さした。窓際にならんで座っていた6組が、荷物を置いて窓から駐車場をみた。駐車場には、1台も車がおいてなかった。
『はぁ?先生らどこいったん?』
『私らが学校にきた時は、校門に校長いたし、担任の武田(たけだ)だって…』
また騒ぎだす。
『静かに!!!』
伊藤は、体育館においているマイクをつかってみんなに聞こえるように話した。みんなは、静かになり、伊藤に耳をむける。
『多分打ち合わせをしてるんだよぉ!200人以上の管理だぞ?!きっと最終確認をしてるはず。』
『それもそうだなぁ…。』
みんなは、伊藤のこの一言でなっとくしたのか、みんなは、先生達への心配の言葉を言わなくなった。でも、明日香はまだまだ心配だった。旅行先でなにがおこるのかわからない。昔からよくニュースでやっていたスクープがある。修学旅行などで帰ってこれなくなった人がたくさんいることを。自分がもしそうなったら…。不安で心がいっぱいだった明日香は、夏子にはなしかけた。
『やっぱりなんか変だよ。』
『なんでぇ?』
何事もおこってから悩みだす夏子は、何も考えてなかった。
『だって、さっきもいったけど、旅行先教えてくれないし、先生達は、待ち合わせ時間になってもこないし…。』
『そーだけどぉ』
『でしょ!何かがおこってからじゃ遅いんだよ!』
『キャーー』
夏子は叫びだし、静かだった体育館が騒ぎだす。
『なんだよ!松山。』
『夏子、うるっさい。』
夏子の悪い癖にみんながさわぎだす。夏子は、昔から訳が分からなくなると叫びだし、なにもかんがえなくなる。
『だって、旅行先教えてくれないし、先生達は、待ち合わせ時間になってもこないし…。』
夏子は、明日香がいっていた言葉をそっくりそのままおおきな声でいった。ざわざわ…ざわざわ…。
ドンっ!
体育館の扉があいた。体育館の扉を開けたのは、加藤翔悟(かとうしょうご)と井上彬(いのうえあきら)だった。どっちも明日香と同じクラスだった。2人は、真面目に学校など来たことのない不良だった。
『うるせぇーんだよ!』
加藤は、そういうと近くにあった椅子を蹴り飛ばした。その椅子は、壁にぶち当たりおおきな音をたてた。みんなは、驚き静かになる。
加藤の横にいる井上が駐車場をさした。
『みろよっ!せんこーらきてんぞ。』
全員たちあがり、駐車場をみた。青いバスが4台、黒いバスが2台、そして先生達の車が多数あった。先生達は、走って体育館に向かってくる。待ち合わせ時間から30分も遅刻だ。