SUGοЯοKU
進む。
そして、目が覚めた。周りは薄暗かった。なぜか、腕と足を紐でしばられていた。身動きがとれなかった。明日香以外のみんなは、まだ眠っていた。明日香は、隣にいた夏子の肩に自分の頭をぶつけた。でも夏子は、おきなかった。明日香は、他の子にもやってみたが、やはりおきなかった。明日香は、次に自分の腕にからみついてある紐をほどこうとした。
ギュッギュッ
かたく結ばれた紐は、なかなかほどけなかった。腕から血が…。かすれて血がでていた。
『矢野?』
声をかけてきたのは、長野宏隆(ながのひろたか)だった。長野は、何度もこけて明日香の横にきた。長野は、あのジュースを少ししか飲んでいなかった。長野もこの旅行がおかしいと思っていたみたいだ。長野は、
『オレのズボンのポケットにライターはいってるからとってくれないか?』
といって明日香に背中をむけた。後ろのズボンのポケットには、ライターのようなもののかたがいっていた。明日香は、紐でふさがれた手で一生懸命ポケットの中のライターをとった。長野は、明日香がライターをもったことを確認すると、
『ライターの火で紐を燃やして』
と頼んできた。明日香は、火事につながるかもしれないから断った。でも長野は、必死でお願いする。大丈夫だからと…。明日香は、火をつけて、3ミリほど紐に近付けてすぐに紐から火をはなした。火は、大きくならず、紐がちぎれた。長野は、そのまま足にむすばられている紐をほどいた。
『ありがと…矢野…。』
『いえいえ。そのかわり、私の紐、ほどいて。そのあとみんなも紐もほどこ…。』
『ふっ…。ごめんよ…。俺は、このまま逃げる。じゃあな…』
長野は、そのまま走って薄暗い部屋からでていった。