我輩は狐である。



それで...だ。

今まで冷静に自己分析してみたが
どーも気に食わねぇ状況なんだ。



ーーどうして人間になってる?



後ろにはお社がある。

鳥居もあるところを見たら
神社にいることくらいわかる。



頭をさわってみたけど
狐の耳はねぇし

腰には尻尾もない。
ただの人間だ。



手のひらに妖力を溜めてみたが
狐火ひとつも出てこない。



「...夢か?」



そうポツリと呟いたら
先程見たお社から声がした。



「夢じゃないよ」



振り返ってみると
銀色の髪の女狐がいた。



「誰だてめぇ」

「助けてもらっといて
てめぇ扱いかい」



クスリと嘲笑いながら
女狐はこちらを見ていた。



「助けて...? 俺がか?」

「他に誰がいるんだい?」



嘘だろ? こんな女狐に助けて
もらうくらい俺は弱かったのか?

だが現に俺は生きてる。
少々気にくわないところだらけだが。



「...考えたくはないが
あんたのお陰らしいな」

「物分かりが良いみたいで
良かったよ」

「聞きたいことが山ほどあるんだが」



女狐はため息をついて
賽銭箱の上に腰を下ろした。



「あー、それじゃあ順を追って
説明するから質問はあとにしてくれ」



俺は首を縦に振ると
女狐は淡々と話始めた。



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