ロンリーファイター



「せっかくだし、ロウソクつけましょーよ」

「別にいいけど…」



そして30の文字を型どったロウソクをケーキの真ん中に刺して、火を付ける。

パチ…と電気を消した部屋に灯る、小さな火。



「あ、なかなか綺麗」

「そうっすね」



その灯りに導かれるように、ソファに座っている田口くんの隣へ座った。



「この前は佐藤が変なこと言ったみたいで、すんません」

「え?」

「あれ以来椎菜さんの様子もおかしかったんで、気になって佐藤から聞いたっす」

「あ…」



(…避けてたの、気付かれてたんだ)



気まずく頬をかく私に、田口くんは持ったカップに口をつける。


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