ロンリーファイター
「あれ……峰岸さん、この後出かけるの?随分私服気合い入ってるね」
「あ、わかりますぅ?この後みんなで合コン行くんです~」
「あー……合コンね」
そういえば、派遣社員の女の子たちはよく合コンに行っているんだっけ。そう納得しながら手元の書類をペラペラと見る。
「だってほらぁ、頑張って彼氏作って結婚しなきゃ、稲瀬さんみたいに売れ残っちゃうじゃないですかぁ」
「ちょっとー、綾乃まだぁ?」
「今行く~。じゃっ、お先でーす」
峰岸さんはそうしっかりと言い切ると、廊下から呼ぶ声に答え笑顔で部屋を後にした。
バタン、と閉じられたドアに、その場に残されるのは私ひとり。
「……」
いや、ちょっと待って。
結婚しなきゃ?売れ残る??私みたいに???
って……どういう意味よーーーー!!!!!
あまりにもしれっと言ってのけるものだから一度は思考が停止してしまったけれど、よく考えてみても、どう理解してみても失礼なその言葉に、拾い上げた書類をまた力任せに机にバァン!と置いた。
どうせ私は売れ残りですよ!返品すらされていない、まだ売れてすらいない女ですよ!!
男以外に媚を売らないのもまた、女らしく潔いというか何というかだけど……でもムカつく!腹立つ!!
そんな思いをぶつけるように、私は積み上がった書類と向き合う。