ロンリーファイター
4.伝える
12.
ー…
窓の外は肌寒い風が吹く、冬の始まり。バタバタとオフィスを歩きながら今日も忙しない一日を過ごす。
「来年の福袋の企画書ってどうなりました?」
「もうとっくに出来てる!今各店舗に必要個数聞いてる!」
「今年は『フェミニンガール』と『フェミニンレディー』の二種類…あ、なかなか中身可愛い」
「今年は全店完売いけるかねー。毎年惜しいからなぁ」
冬のピーク時期まで、あと少し。
店舗はもちろん、こちら本社側も心なしかそわそわとその時期を待ち構えている。おかげでただでさえ忙しい私は尚更忙しくもなる。
「椎菜さん」
すると、いつものように差し出されるマグカップ。コーヒーの入ったピンクの花柄のカップを差し出すのは、田口くん。
「ありがとー」
それを受け取り、両手でカップを包むように持つ。