ロンリーファイター







そうしてその夜、残業を終えた私は田口くんと駅前の居酒屋へとやって来た。



「じゃあ、とりあえず乾杯」

「乾杯」



コン、と合わせるお互いのグラス。そこにはどちらもビールが注がれている。



「あれ、そういえば田口くん今日ビール?」

「たまには呑んで慣れておこうと思って」

「あんまり無理しないでよ?」

「はーい」



頷きビールを一口飲む彼に、続くように私もゴクゴクと喉を潤す。



「んーっ、おいしー!」

「椎菜さん、ビール派っすよね」

「うん。でも焼酎とか日本酒も飲むよ。あとワインも」

「カクテルとか酎ハイは?」

「飲むは飲むけど…あんまり甘いとジュースって感じがしちゃって、お酒飲んでる気がしないんだよねぇ」

「…本当酒飲みっすね」

「昔はよく滝さんと泥酔するまで飲んで駅で寝てたりもしたわ…」

「……」



呆れたように笑って、田口くんはまたグラスに口をつける。


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