ロンリーファイター
「あ、そっか。田口くんまだ未成年だからノンアルコールか」
「そうっす。稲瀬さんはいい呑みっぷりっすね」
「もちろん!やっぱビールはジョッキで一気!」
「けどコイツ毎回泥酔するまで呑むから、周りは大変大変」
「滝さんうるさい!」
「そういう所がまた男らしいんだよなー」
「うんうん。俺稲瀬に女を感じたことがねーもん」
「30で独身、彼氏なしも頷けるよなー」
「ええいうるさい!余計なお世話!!しかも私はまだ29!!」
口々に言う男共に、私は怒鳴り運ばれてきたジョッキにまた口をつける。
「あ、あのー…ちょっといいですか?」
「?」
するとそんな中、突然小さく手を上げるのは7つ下の後輩・瞳ちゃん。
少ない女社員の一人で、仕事も出来るし性格も穏やか。私が最も信頼している女の子だ。
そんな瞳ちゃんの言葉に、周りの視線は一気に向けられる。