ロンリーファイター
次々とこぼされるその言葉に、ようやく現実へと引き戻される。
(…あぁ、またこのオチ)
一瞬でも幸せを感じたのは、私一人の思い上がり。
「…何で、も何も昨日田口くん酔っ払ってフラフラだったからさ、送っただけ。そのまま私も寝ちゃったけど、何もないよ」
「はぁ!?そんなの信じられるわけっ…」
「本当にそれだけだよ。だって田口くんはただのうちのバイトだから。それ以上はありません」
私は至って冷静にそれだけを言い切ると、立ち上がりスタスタと部屋を出る。
「じゃ、あとは若者同士ごゆっくり」
「あ、椎菜さ…」
ーバタン、
閉めたドアに、声は途切れた。