ロンリーファイター
「うちの社長の息子さんでね、向こうから話を持ちかけてくれたみたい」
「…受けるんすか?」
「勿論。断る理由なんてないもの」
「…結婚、するってこと?」
「上手くいけば、ね」
小さく呟き仕事の続きに手をつける私に、その顔は下を俯く。
「……あっそ」
そしてそれだけ言って、彼はその場を去った。
「……」
たった一言、それだけの言葉にも胸はまた痛みを増す。
(…何言ってるんだか、私)
『お見合いするの』
もしかしたら止めてくれるかもなんて、また少し期待した。
突き放しておいて期待するなんて、やっぱり私はバカだ。
苦しい心だけが、残った