ロンリーファイター


ー…




高城さんはこんな私に好意を持ってくれていて、本気で言ってくれている。

優しそうな人だし、穏やかで大人で、この人と結婚したら幸せだろうと思う。



何一つ不満なんてない、完璧に等しいような相手。



あの後食事をしていた時も、会話は弾みお酒も進み…おまけにご馳走してもらっちゃったし。

帰りも、タクシーできちんと家まで送り届けてくれたりして





『今日はありがとうございました』

『いえ、こちらこそ。ごはんご馳走様でした』

『どういたしまして。また明日も、仕事頑張って』

『はい、おやすみなさい』





優しい笑顔でそう言葉をかけてくれた彼に、想われてる、気遣ってもらえてる、ってそう思える一日だった。





「……」



それから数日が経った、ある日の夕方。



(…あ、もう5時)

書類から顔を上げ時計を見れば、時刻は定時の5時を指していることに気付く。



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