ロンリーファイター



「正直、結婚やめた方がいいと思います」

「え?」

「焦って結婚することほど格好悪いこともないですし、それに社長の息子なんて稲瀬さんには似合わないですし」

「失礼な…」

「勘違いしないでください、僻みとかじゃないですよ」



こちらを見る目は、いつになく真剣な目をしている。



「ただ…結婚してその先に何があるか、その人とは見えますか?」

「…?」



結婚の、先…?



「その人と家庭を持って、一生寄り添って…そこに愛は、ありますか?」

「……」





愛、は





「…あるって言い切れるなら、ご勝手にって感じですけどぉ」



それだけ言って、峰岸さんは自分のデスクへと戻って行った。



「…、…」





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