ロンリーファイター
結婚の、先。
生活とか時間があって、そのうち家庭を持つ。それから長い長い時間を寄り添い生きる。
そこに愛は、あるか
(…結婚って言葉に焦って、その意味を忘れてた)
彼と、誓う覚悟は
「…ーさん、…瀬さん、…稲瀬さん?」
「えっ、あっはい!」
ーその声でふと我に返ると、目の前には不思議そうな顔でこちらを伺う高城さんがいた。
(はっ、そういえば今は高城さんと居たんだった…!)
仕事後、二人で会っている真っ最中だったことを思い出す。
「す、すみません」
「どうかしました?ぼんやりして…仕事後に会うのはやっぱりきついですか?」
「いえ、何でもないんです。すみません…」
(ダメだ私。何ボーッとしてるんだか…)
夜景の見えるバーの端の席で、我に返った私はカクテルを一口飲んだ。