ロンリーファイター





結婚の、先。



生活とか時間があって、そのうち家庭を持つ。それから長い長い時間を寄り添い生きる。



そこに愛は、あるか



(…結婚って言葉に焦って、その意味を忘れてた)



彼と、誓う覚悟は







「…ーさん、…瀬さん、…稲瀬さん?」

「えっ、あっはい!」



ーその声でふと我に返ると、目の前には不思議そうな顔でこちらを伺う高城さんがいた。



(はっ、そういえば今は高城さんと居たんだった…!)



仕事後、二人で会っている真っ最中だったことを思い出す。



「す、すみません」

「どうかしました?ぼんやりして…仕事後に会うのはやっぱりきついですか?」

「いえ、何でもないんです。すみません…」



(ダメだ私。何ボーッとしてるんだか…)



夜景の見えるバーの端の席で、我に返った私はカクテルを一口飲んだ。



< 202 / 333 >

この作品をシェア

pagetop