ロンリーファイター
『やめた方がいいと思います』
考えないようにしようと思うのに、頭には昼間の峰岸さんの言葉が浮かぶ。
「今日で会うのは何度目でしたっけ」
「?えーと…5回目、くらいですかね」
「少しは僕も、友達以上に昇進出来ましたか?」
「…?」
そんな気持ちをよそに、高城さんは私の手をそっと握る。
「高城、さん…?」
「今夜は、ここのホテルに泊まりませんか」
「え…?」
「待つと言ったのに急かすような言い方をして申し訳ない。けど…僕はあなたを帰したくない」
目の前には、広がる東京の夜景。
「稲瀬さん、好きです」
「……」
握られた手に、そっと手を添えた。