ロンリーファイター



「そんな椎菜さんだから、放って置けないんすよ」

「…?」

「関係ないとかどうでもいいとか言わないでくださいよ。…好きな人に言われたら、さすがにヘコむ」

「…え…?」



その言葉の意味を問おうと胸の中から顔を上げると、そこには真っ直ぐにこちらを見る田口くんの顔。

その表情はいつもと同じ無愛想。だけど、ほんの少し赤い頬から照れているのだと知る。



「でっでも、この前のあの子と…」

「だから、あいつはその…元カノ、なんだってば。今の俺には一人しか見えてない」

「元、カノ…」



ひんやりとした風が吹く中、互いの瞳にはそれぞれの姿が映る。



< 215 / 333 >

この作品をシェア

pagetop