ロンリーファイター
「そんな椎菜さんだから、放って置けないんすよ」
「…?」
「関係ないとかどうでもいいとか言わないでくださいよ。…好きな人に言われたら、さすがにヘコむ」
「…え…?」
その言葉の意味を問おうと胸の中から顔を上げると、そこには真っ直ぐにこちらを見る田口くんの顔。
その表情はいつもと同じ無愛想。だけど、ほんの少し赤い頬から照れているのだと知る。
「でっでも、この前のあの子と…」
「だから、あいつはその…元カノ、なんだってば。今の俺には一人しか見えてない」
「元、カノ…」
ひんやりとした風が吹く中、互いの瞳にはそれぞれの姿が映る。