ロンリーファイター



(…あ)

家を出てから数十分。会社近くの道を歩いていると、前には見慣れた背の高い後ろ姿。



「よ、椎菜」

「あ、滝さん。おはようございます」



それは今日も相変わらず、シンプルな身なりの椎菜。そんな椎菜に俺は肩を組むようにして話しかけた。



「お前今日も相変わらずスーツなのな。たまにはもうちょい可愛い格好してこい」

「余計なお世話です」

「あ、そっか。そんな格好したら田口がうるさいのか。あいつ意外とやきもち妬きだからなー」

「うるさいっすよ」

「うおっ!」



そうしていると、丁度後ろにいた田口に膝を突かれカクンッと折られた。


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