ロンリーファイター



三度目は…そう過去を思い出しながら、着いた会社でエレベーターに乗り込む。



(…っと、五階…)

そして5の文字のボタンを押した時



「…すみません、乗ります」

「……」



後ろから乗り込む、黒のセミロングの女性。



「……」

「…、…」



お互いの視線は一瞬だけ交わり、すぐに避けるようにそらされた。



「…何階?」

「あ…四階、で」



(…知ってる、)



分かってて、聞いた。

彼女は四階にあるうちの会社の管理部の事務員で、石田詩織という。確か歳は、28だっただろうか。

大人しくて控えめな子で…そして、俺の三番目の元妻だ。




< 258 / 333 >

この作品をシェア

pagetop