もう一度、キミと。


いつのまにか真音の歌は止み、僕の奏でる音だけが音楽室に反響していた。


僕は息を飲むようにして階段をかけ下りるように弾く。

頭ではもう楽譜は覚えていないけれど、指は…身体は覚えているみたいだった。

昔の感覚が僕を包む。



最後の1音まで気を抜かないで、優しく、優しく………


ずっと昔に先生から言われたことを思い出す。


「自分は、誰を想い、誰のために弾くのか」


この曲を作曲したリストは、誰を想っていたのかな………?


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