神龍と風の舞姫
珍しく海斗がこの事件に興味を示していたことを新聞を眺めつつ思い出す

あの時はこれといって気にしなかったけれど、今思うと海斗は何か思い当たることがあるような感じだった

そしてそのあとすぐ海斗は姿を消した

いつものように何も言わずにふらりと

出逢ったころはその度にあたふたしていたけれど、2年も一緒にいれば「またか…」の一言で片づけられてしまう

(…ちょっと調べてみようかな)

どうせすることもないし

と、海斗が興味を示していた事件を思い出す

(こういう時は…あそこに行くに限るよね)

新聞を折りたたみ、すでに顔なじみになったおかみさんに挨拶をして、木製のドアを押し開ける

ドアに取り付けられた鈴がチリンと涼しい音を立てた


< 17 / 117 >

この作品をシェア

pagetop