神龍と風の舞姫
「そういえば、ルノアやユザはいつ帰ってくるんだ?」

何週間か前から信次の命により、不在の家臣たちをふと思い出す

「さあ、用件が済み次第帰国するはずだが」

ワインはそこそこだなとグラスに口をつけて感想を漏らす信次を見返し、

「最近頻出している行方不明者続出事件、あれを調べさせているんだろう?」

「ああ、すべてがすべて関連しているとは思えないが、少々気になることがあってな」

確かにー

と雪斗は心の中で思う

あの事件は不可思議だ

突然と姿を消した少年少女、中には大人もいたはずだ

身代金の要求もなければ、とこかで遺体が発見されることもない

不明者の関連性を調べようにも、国籍も性別も年齢も様々でこれといって接点が見つけられず、国際警察はかなり捜査に行き詰っているらしい

「神龍国の雪斗・ディフレンド様、ですわね?」

神龍国から被害者が出ていないのが、今のところの救いかと考えていると甲高い声に名を呼ばれた

ふと声のした方を振り返るとそこに立っていたのは、重そうな髪飾りをたくさんあしらった巻き髪にウエストが締まった豪華なドレスを身にまとった女性だった

例え結婚していようともすでに第一王子が誕生していようとも、たまにいるのだ

例え側室でもいいから神龍国とのつながりがほしい貴族というものは

さて、どうやってこの場を切り抜けようか…

ふと嘆息しつつ雪斗は手すりから身を起こした



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