神龍と風の舞姫
「海斗!!」

三か月ぶりの再開にしるふの声も知らぬ間に高くなる

階段を駆け下り、神龍の姿の海斗に駆け寄る

長く太い首に、人の姿をした時と全く変わらない透き通った青い瞳、逞しい四本の肢、三対の大きな翼

尾は徐々に細くなり、先端はふかふかの長めの毛でおおわれている

その長さは、自身を半周できるほどだ

そして何より、その体は神々しいほどに美しく輝いている

神龍より力の劣る白龍、さらにその下に位置する黒龍にはない、見る者を圧倒する巨大な体は、白銀の短い毛で覆われ、光を受けるときらきらといやみなく輝く

白龍は白い龍で、純白の美しい姿をしているが、ここまでの神々しさはない

黒龍に至っては、黒い表体をしている

白龍でもなく黒龍でもなく、神龍が世界中の権力者に求められる理由はこの神々しさにある

見たものを一瞬のうちに黙らせ、釘付けにする

本能的にかなわないという恐怖を与えるほど威厳のあるその姿と実際に力を使えば何千人、何万人が一気にかかってこようともなぎ倒すほどの強力な力を持った神龍を人々は求める

国を守るため、自分の権力を高めるため、欲しいものを手に入れるため

そのせいで傷つき、命を落とした神龍は多い

特に海斗は歴史史上最強の神龍と言われている

属性は炎

すべてを焼き尽くすその猛火に人々は手を出すことはおろか、自分の身を守ることさえできないかもしれない

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