神龍と風の舞姫
白龍を手に入れただけでも隣国から恐れられるのに、国の後ろに構えるのが神龍だとすれば、恐怖こそ覚えすれ、攻め入って乗っ取ろうとか暗殺計画を企てようなどとは微塵も思わない

出来れば仲良くなって同盟を結びたい

例え同盟といういつ壊れるかわからない関係でも神龍の恩恵を受けられるのなら、その名を借りられるのなら大切な姫君でも差し出すだろう

そうやって昔から神龍族以外の神龍を宿すものは、世界の私利私欲に巻き込まれその人生を狂わせてきた

神龍族として生まれれば、神龍国という壁が、国王が忠誠者を見つけ、近寄ってくる相手も蹴散らすほどの力をつけるまで守ってくれる

けれど、世界に突然として生まれる神龍を身に宿したものはそれがない

忠誠者を見つけることができず、自滅したものも少なくない

”本性”を身に宿すということは、強い力を持つということだが、同時に暴走の危険といつも隣り合わせということでもある

忠誠も名ばかりで、ただ従わされているものもいる

”本性”を身に宿していては生きていけないから、そのことを利用して忠誠を誓わせていいように利用するだけして使い物にならなくなったら見放すということもある

ただの戦いの道具としてしか考えていない者もいる

特に最近はより力のあるものを求める風潮が強くなってきているように思う

闘って負けたら忠誠者を責め、傷を手当てすることもなく、放りだし、都合のいい忠誠者を見つけてはすぐに新しい忠誠をむすぶ

まるで捨て駒のように次から次へと忠誠者を切り替え、より強い”本性”を持つものを探す





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