神龍と風の舞姫
しるふはそんな”本性”を持つものをただの道具としてしか見ていない人たちが大嫌いだ

彼らだって傷つけば痛いし、本当は闘いたくないかもしれない

その思いを無視して無理やり闘わせて、使い物にならなくなったら何の未練もなく捨てて次に切り替える

昔のお互いを信じ合って大切に想って忠誠を誓っていたころは、死ぬときだって一緒だった

それがより力のあるものと忠誠をむすぶことが素晴らしいことのように、人々の目的となったのはいつからだろう

力を求め、権力を高め、地位を築き、周りからはやし立てられることを望む人が世界の至ることろにいる

近年ではコレクターと呼ばれる、”本性”をコレクターする人々も増えてきている

その人たちだって、海斗のような”本性”を持つものをただの道具としてしか見ていないじゃないか

確かに海斗が本性に立ち戻ったときの姿は美しい

思わず息をのむほどなのも認める

けれど、だからと言って心がないわけじゃない

海斗の行きたい道があるはずだ

海斗は戦いを望まない

平凡に平和に、世界の私利私欲に巻き込まれることなく生きていくことを望む

けれど、それはきっと難しいこと

もしかしたら神龍国すらも巻き込みかねない

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