神龍と風の舞姫
いつかはこうなると思っていた

あの事件以来、ずっと確信はあった

でもまさか…


「で、いつまでたっても起きないから起こしに来たらもぬけの殻だったと…」


大きな窓と高い天井、そこからぶら下がる落ち着いた色のカーテン

左には天井近くまでの本棚と並べられた本

右には大きな寝台

そして中央には机と気持ちのよさそうな絨毯

独りで使うにはとても大きすぎる部屋は今、その主人を失いさらに広く感じる

きれいに片づけられた部屋を見渡し、ため息交じりにつぶやいたのは、ここ神龍国の国王・信次・ディフレンド

その横には、信次とだいぶ身長差のある小桃と呼ばれるメイドが、不安そうな困った表情で立っていた

小桃は神龍国王宮にいる数少ないメイドの一人だ

メイドの中では一番若く、小柄でちょこちょこと働く姿は大変愛らしい

その小桃が今朝、たまりにたまった仕事を自室で処理していた信次のもとに駆けつけてきたのはほんの少し前

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